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千葉地方裁判所 平成5年(わ)656号 判決

本店所在地

千葉県松戸市北松戸二丁目二〇番地の二

法人の名称

株式会社 田村

(代表者代表取締役 田村正美)

本籍

千葉県松戸市北松戸二丁目二〇番地の二

住所

右同

会社員

田村文子

昭和一一年四月二四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官武田みどり出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社田村を罰金二五〇〇万円に、被告人田村文子を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人田村文子に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社田村(以下「被告人会社」という)は、千葉県松戸市北松戸二丁目二〇番地の二に本店を置き、土木建築請負業を営むもの、被告人田村文子は、被告人会社の経理責任者であるが、被告人田村文子は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が五六九五万九七〇六円であったにもかかわらず、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、同年七月二九日、同県松戸市小根本五三番地の三所在の松戸税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、一三一万二三二一円で、これに対する法人税額が三九万三六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二二九六万二七〇〇円と右申告税額との差額二二五六万九一〇〇円を免れ

第二  同元年六月一日から同二年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億一一八九万二九二二円であったにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得を秘匿した上、同年七月三〇日、前記松戸税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、二〇九万七〇九四円で、これに対する法人税額が六〇万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四三八七万六八〇〇円と右申告税額との差額四三二六万八七〇〇円を免れ

第三  同二年六月一日から同三年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九六八四万七七三二円であったにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得を秘匿した上、同年七月二五日、前記松戸税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、九四八万六一四六円で、これに対する法人税額が二七八万八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三五五四万一二〇〇円と右申告税額との差額三二七六万〇四〇〇円を免れ

もって不正の行為により、法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  田村正美の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書(但し、検察官請求証拠番号甲10の不同意部分を除く。)

一  渡辺恵子、田村利夫、溝口隆司及び桐澤卓の大蔵事務官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の捜査報告書及び電話聴取書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同番号甲2)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同番号甲3)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同番号甲4)

(法令の適用)

被告人株式会社田村及び被告人田村文子の判示各所為は、各事業年度毎に、いずれも法人税法一五九条一項(被告人会社についてはさらに同法一六四条一項)該当するところ、被告人会社については情状に照し、同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金二五〇〇万円に処し、被告人については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年に処し、被告人に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北島佐一郎)

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